身に余る 馳走ぞ 来ぬ 佳話(かわ)の 瑞(みず)よ
皆 其処に 円居(まどい)て 返杯を 享(う)け 賜(たも)れ
疎ましき 醜女(しこめ)と 野放途(のほうず)に 吐き
助(すけ) 流す 不義理に 慄(ふる)え 戯笑すら 覚えて
配(つれあい)の 名は 行き摺れ合う 廝女(しじょ)の 意か
然(さ)りとても 消すとは
過ぎた 望みなら 道連れの 夢
始めから 見させないで
戯(ざ)れに 契りを籠む 前に
只(たった) 一言 呉(く)れれば 済む
賤(しず)なる 醜女(しこめ)を 娶りはしないと
羽根の折れた 鳥の様に 弱りし 貴方を
抱き締めたのは 情けと 心悸(こころときめき) 染めた 故(から)
貴方に もっと 尽くして 貴方を きっと 癒して
貴方を ずっと 守って 貴方に そっと 寄り添い
偶(たま)には ちょっと 笑って はにかむ様に
見てくれさえすれば
私は もっと 良くして 二人は きっと 通じて
誰もが ずっと 囃して 二人で そっと 夢見て
私は ちょっと 綺麗に なれただろうに
如何(どう)して 無体な 真似
抑(そも) 父母の 業(ごう)
残忍煩悩濫(らん)
手前(てめえ)で 娶(めと)った寡婦(かふ)の
連れ子の 器量を 疎(うと)み
鬼すら 怒(いか)れる 狂愚(きょうぐ)
川面(かわづら) 目掛けて抛(ほ)り 棄て
非道の 父(かぞ) 有り得(え)まじ
自分の 吾子(あこ)を 見殺し
代わりを 孕(はら)んで 澄ます
川太郎(がたろ)も 逃げ出す 邪慢(じゃまん)
其の 面(つら)目掛けて 唾吐(つば)きたし
非情の 母(いろ)(外道(げどう))悲劇の 渦(か)は 重なり
後に 繰り返す 悪夢の 糸を 手繰り
寄せ 見らば 亡姉(ぼうし)の 骸(むくろ)
波を 揺籃(ゆりかご)に沈みて 消ゆる
愛子(まなご) 無きに為し 渡るが 親か
生(い)くるに 易くは 無き
憂き世に選(すぐ)るは 道理
野山の 獣(けだもの)とて
言わずも 間引きて 釣合うもの
否(いな)や 捨て置けぬは 振る舞いと
落ちに 非(あら)ざる 其の 訳ぞ
憐れみでは 無く 何(な)どに 疎(うと)ましむか
倩々(つらつら) 念(おも)う 怨(うら)めしきは 其の
御為尽(おためづく)の 面(つら)
知ったか振りの坊主の目が 矢鱈(やたら) 光って
此方(こっち)を見る震え上がった
御歴歴(おれきれき)も ほっとするなり やんやの声(やあ)
功徳(こうとく)ごかした 説法 打ち
委細 聴こうと 平左(へいざ)の様(さま)
恰好付ける 空念仏
周(ぐるり) 回って 面白き
上人(しょうにん)の名は 生者付(せいじゃづき)の 太鼓持(たいこもち)
引き込みて黙(もく)せよ
過ぎた 望みなら 道連れの 夢 始めから 見させないで
戯(ざ)れに 契りを籠(こ)む 前に
只(たった) 一言呉(く)れれば 済む
醜女(しこめ)は 要らぬ とて
殺(あや)めるのなら 始めから 作らないで
生まれ 巡り会えた
傍(そば)に 無愧(むぎ)な 非情に 泡と 消えた
彼の日の 私に襲(かさ)ねて 遣(や)ろうか
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