数えば 幾許(いくばく)も 無き
現人(うつせみ)に 時の間の 天命(てんめい)
瞬く 暇(いずま)に 罷(まか)る
陰縫(かげぬ)いを 仕上(しあ)ぐも 骨
余饒(よじょう)の 名残(なごり) 仔虫(しちゅう)が 老(お)ゆる
追ひ次(すが)ふは 虚耗(きょうこう)と 露命(ろめい)に
嘆(なげ)かふ 諦(あきら)む 恨(うら)みる なれど 際(きわ)に
重ねし 跡形 誇りて 眠り 逝(ゆ)くを 支(か)ふ
諭せば 解(かわ)らぬを 知る
墜(お)つ 蝉は 若為(いかに) 生い 去り逝く
痴(おこ)めく 如くに ゆかし
笹の葉の さやぎも 断つ
余饒(よじょう)の 名残 仔虫(しちゅう)が 老(お)ゆる
叶うならば 五情(ごじょう)を 此の 風に 覓(と)むる
嘆(なげ)かふ 諦(あきら)む 恨(うら)みる なれど 際(きわ)に
重ねし 跡形(あとかた) 誇りて 眠り 逝(ゆ)くを 支(か)ふ
広がる 死せる 風の 墓上(ぼじょう)
生命(いのち)に 在るは 現在(いま)
嘆(なげ)かふ 諦(あきら)む 恨(うら)みる なれど 際(きわ)に
早きを 愛(お)しみて 謝(しゃ)す 故(ゆえ)
風の如く 疾(と)かれ
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