誰も海の広さ等、漠然としか知り得ないし
井の中一生を終える蛙程、自分と向き合う事もない
宇宙遊泳の代替え案として、俺は山頂を目指している
それでも繰り返す一歩一歩が、尊厳めいた感情を成している
何処へなんて、構わないで、飛び出して行く
俺が俺を挫く前に
時の峡谷、痛みの雪崩、憎悪の渓流、越えて遠く続くクライミング
予算内で選んだ駄菓子分、背負う物に空いた隙間に
一体何を詰め込んでいるかで、人間の値打ちは解るもんさ
噛ませ犬程の戦績も、野良猫程の自由もない俺は、何を持って来たんだっけ?云いかけて頬の裏を噛んだ
何処へなんて、構わないで、飛び出して行く
巣窟暴かれた蟻の様に
時の峡谷、痛みの雪崩、憎悪の渓流、越えて遠く続くクライミング
「どなた様もお気軽にどうぞ。何かとお忙しいのでしょうし」
その看板は唐突にそう始まって
「冥福の前借りにすがる前に、どうか私をお訪ね下さい。敗北、請け負います」
辛うじて解るのはその一文と、おそらく血で書いた文字だって事
辺りにそれらしき人はおらず、セルロイド味の畏怖を覚えるも
道中、粉砕したピッケルの柄と、厚紙ででっち上げた憫然たる其れを
何に役立つ訳でも無いが、捨て置く事が出来ない其れを、土台、届かない空に掲げる
誰も主人公で風景さ、轟音の水槽の中で
性別も人種も無くなっていく、少しずつ、少しずつ、少しずつ
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