君はまだ覚えてるかな 幼い頃の暑い六月
廃線になった線路を 僕等はどこまでも歩いた
乗り気で水筒なんかを ぶら下げてきた雅敏は
おじちゃんに買ってもらったマウンテンバイクを自慢した
♪
「けどな 俺はおじちゃんが嫌いなんだ
母ちゃんをいつも泣かせてばかりいるから」
僕は何だか気まずくなって 目をそらしたんだ
雅敏の顔に大きな青痣があったから
降りだした夕立に走りだす つぶれた無人駅で雨宿り
明日は何して明後日は何して
くだらない話で笑い転げる 嵐の予感に胸が高鳴る
あの時僕ら皆は確かに
夏を待っていました
夏を待っていました
♪
ここに居たくないってのと どこかに行きたいってのは
同じ意味なのかな なんにしろ歩こうか
体育と部活が何より苦手な靖人は
とうとう膝を抱えてこう呟いた
「僕はいつも皆に置いてきぼりで 本当にダメなやつでごめんな」
僕らはなんだか笑ってしまった
つられて靖人も涙目で笑った
背の高い夏草でかくれんぼ 鬼は迫り来る時間の流れ
もういいかい まだだよって叫んだよ
僕は今も見つからないままで あの時と同じ膝をかかえて
部屋から青い空を見上げて
夏を待っていました
夏を待っていました
♪
身長が高くて喧嘩が強い 太平はいつも無茶な遊びを思いつく
「この鉄橋に一番 長くぶら下がったやつの
言うことは何でも聞かなきゃダメだぜ」
僕らはびびって出来なかったけど 太平は平気な顔でぶら下がる
7年後に太平はビルから飛び降りた
そんな勇気なら無いほうが良かった
高層ビルの下でかくれんぼ あれから何年がたっただろう
もういいかい まだだよって声もない
もしも今日があの日の続きなら 僕らの冒険を続けなくちゃ
六月の空を僕は見上げて
夏を待っていました 夏を待っていました
夏を待っていました 夏を待っていました
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