通り過ぎた雨に
細い肩を濡らして
あの娘は一人ぼっちになろうとしている
淋しいのなら忘れよう
人の心なんて
にぎやかなお祭りの人ごみの中に
浴衣がけ 細い肩 通り雨
二年ぶりにたずねた
下町のお祭りは
まるであの日と同じ顔でむかえてくれたのに
久しぶりなら忘れよう
なつかしさなんて
風車くるくると音をたてる夜に
浴衣がけ 長い髪 通り雨
♪
幸せすぎてこわいと
大吉破いてすてた
何もかもが昔にむかって走り去ってゆく
思い出すなら忘れよう
おもいでなんて
指切りがほどけてはいけないはずなのに
カラカラと 石畳 通り雨
赤い鼻緒切らして
上目使いに笑った
かわいそうなくらいの小さな胸もと
悲しいのなら忘れよう
君の笑顔なんて
熱い涙足もとにはじけて落ちた日に
ほほ濡らす 悲しみの 通り雨
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