燃えている――燃えている――。
【発炉】
熔ける人 黒煙は揺れ 炙られ噴き出す
害意の滓
踊りくねり 明滅を繰返しながら
消えては生まれ 生まれては消え
気が付けば 暗然たる空を割り
「 」達が見下ろしている
――私は誰だ
【永遠の火】
情動享楽好色貪婪
第六天より零れる落ち
三色滅尽 のべつ幕無し
捩れ織り成す黒い川
百三十六 由旬に至りて
非有想非無想此処非ず
眼耳鼻舌身識を閉ざせば
巡り還りて我と成る
吐き連ねた痛みと 嘆きの海
叫び続ける音は もう聞こえない
重なり混じり合って 赤き虚に
いずれ消えるときまで また落ちていくのさ
泥"と 黒い汚濁に溶けながら 彼我の区別もつかず
唯 その身を焦がし 故に理解していた 私は――
【暗い穴】
煽動蚕食略奪欺瞞
不浄舐め合い擦り合い
罪人の歌は声高らかに
使嗾に焚かれた蛻の如く
狼心狗肺克伐怨欲
愉快痛愉嬰孩嗤う
ゆらりゆらりと夢見のままで
転がる先には何も無い
縺れ合う 枯れ木の腕
従前は 夜露と消ゆ
黄白を 貪りながら
永遠に 嗚呼 燃えている
歪みゆくもの 残滅を忌む 機千の渇きを 摘み取り
言葉は 意味を無くした
人は色無き 暁に焦がれ願い焼かれるのだろう
降り止まぬ黒雨と 光の中で
一つ・・・・二つ・・・・、 星が流れていく・・・・・。
あれらは皆・・・・・・、 終わったのだ・・・・・・・・。
「絶叫」
見ろ――
世界が焼けている 命は赤熱し灰 となる
空は濁り 形骸が大地を埋め尽くす
大逆無道を是とする傀儡
火虫達は悲憤し慷慨し怨ずる
業は煮え 因果は鎔け 劫を経て一切は滅尽する
爛れた理想と 虚飾に塗れて もの謂わぬ 誰人は夜風に問う
やがて皆 燃え盛る闇と 穢れた日輪に熔けて 灰色の星になった
「燃えてしまえ」
赤く 赤く それらは万象を染め
やがて 巨大な奔流を成し 天高く昇っていく
依然として消えぬ火焔は 円を描き霧散する
月光は粛々と陰り やがて東雲の空を覆い尽くす
再び暗晦に包まれ 標を見失い 彷徨う
それらもまた輪廻の如く 彼等を飲み込んでいく
――阿鼻叫喚――
我らが不変であるならば 彼らもまた不変である
三世に於いても それは変わらない
そういうものなのだ そういうことなのだ
移ろう現象の中で 焔火は 唯 揺れるのみ
啼いている、 啼いている――。
――「 」達が嗤っている――
滅びを運ぶ船が来る 誰も知らない
遠く 高く 飛んでいき 落ちていく
滅びを謳う鳥が行く 誰も識らない
遠く 高く 弧を描き 落ちてくる
天から光が 落ちてくる
【閃光】
嗚呼 溢れ出した 一筋の 祈りを 静かに 小さき手で 掬った
歪みゆくもの 残滅を忌む 機千の渇きを 摘み取り
言葉は 意味を無くした
人は色無き 暁に焦がれ願い焼かれ続ける
降り止まぬ黒雨に 濡れて
生まれ来るもの 寂滅 思惟 機億の光に 照らされ
安寧 求めて縋る
廻り始めた 天命を論す月を ずっと見ていた
腐り落ちていく夜に 沈めて
【/IX】
啼いている
啼いている
皆 啼いている
生き行くものも 死するものも
老いも若きも 男も女も
皆、 啼いている
あの 黒鳥のように
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