「雲が空を覆って、そこから雨が降る。
雨が海へ流れ出て、空へ昇って雲になる。」
「雨... 海... 雲... ぐるぐる回ってる」
「きっと、みんなそのぐるぐるの中にいるんだと思う。
人も、歴史も、刀剣も」
次に降る雨はその昔
恐竜がこぼした泪(なみだ)かもしれない
「...え?」
河童の皿を潤したかもしれないし
つはものたちの汗を流したかもしれない
もしかしたら
畦に囲まれ稲穂を実らせ
もしかしたら
鳥居を濡らす禊の雨
もしかしたら
最上川の流れを早くしたかもしれない...?
「そうだね」
この星の中を巡り巡って
目が回りそう
大丈夫 ゆっくりだから
ゆっくり
じっくり
気が遠くなるね
なるね
でも楽しみだよ
何が生まれるか
何が飛び出すか
次に降る雨はその昔
焼入れの時触れた水かもしれない
ゆっくり
ゆっくり
じっくり
じっくり
次に降る雨を待とう
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