雨がしとしと降っていた
紙を濡らさぬように上着で隠して
持ち込んだ原稿用紙
この子も駄目だった
ふっと口を衝く「才無いわ」
書かぬ理由をすり替えた
ソフトな死でさえ選べんわ
終わる為にも勇気が要るな
遅過ぎんだってもう
僕の価値は
これ一つだと思っていた
間違いか
裏切りの影
訝しげなピーターパン
曰くアイロニカルな
「もう何処にも行けないね」
いずれ去る時が来ることは
知っていた事だから
せめて自分の手で
終わりにしたいんだ
縛られずに生きてた
それが婉美であると信じて死んだ
これまでの僕を弔ってやろう
何かに縛られ生きる
それこそが救いと知って
決めたんだ
さらばネバーランド
♪
僕は大人になったのに
それらしい事言って終わりにしたのに
何故僕の目に手を振り嗤う
アイツが映るんだ
♪
あれから味がしないんだ
何やってる時も
緩やかな死を覚えていた
もう言い訳出来ない
色も声も香りも痛みも
体温も喜も怒も楽もアイも
全部忘れていた
ねぇだからさ
もう一度思い出させて
何事も無く「ん」と
手を差し出すピーターパン
曰く「パラドキシカルに
もう何処にも行けないぜ」
いずれ死ぬ時が来る迄は
生きている方がマシだから
もう二度と終わりにはしない
僕に無いものばかりだ
「それが何だ」だなんて言えたのならば
強がりさえ僕の味方になるだろう
そうやって決意を持てた
僕こそが彼だと知った
僕の場所
ここはネバーランド
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