きみの口笛もこの部屋の家具のひとつ
きみと暮らしてた頃は気づかずにいたよ
聖歌隊が行く 窓の下 雪の靴で
カテドラルの鐘
真っ赤な死の実をくわえ飛ぶ鳥たち
黒い森の中吠える猟犬の群れは
きみが隠してた秘密の分身
きみは誰だったの
地下を流れる水脈に触れ
手の小枝が揺れるみたいに
きみの 孤独を愛した 孤独で
凍る湖が割れる音 聴いた耳に
きみの声がする幻の列車が着く
古いラジオから流れ出すテロルの血で
遠い珊瑚樹に小さな火が点く
汚れない白さの
人生(ひと)の酷さは美しいこと
優しいこと
他人(ひと)を激しく愛さずにいられないこと
秘密をそっと打ち明けられた
子供のように
幸福だった きみと生きてた その日々
人生(とき)の酷さはその美しさ
絶望より 愛や憧れ
少しずつ死ぬ心だけしか
分かち合えるものはないのに
地下を流れる水脈に触れ
手の小枝が揺れるみたいに
きみの 孤独を愛した 孤独で
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