色鮮やかな花束の中に
ただひとつだけ蕾があるように
巡る季節の記憶の中で微笑むあなたが
今も私の心を縛り付けるの
あなたと歩いた桜道も
分け合って飲んだはじけるサイダーも
全て憶えているわ
どうかしてるわ
あなたが思っているよりもわたしは
ずっと醜くて小さい蕾のままでいるのに
どうかしてるわ
あなたが側で笑っているだけで
全てのことが許されてしまう気がするのよ
本当はあなたと出会いたくなかったのに
もっと
あなたの側にいたいと思ってしまうのよ
風に舞った花弁(はなびら)が落ちて
水面(みなも)に彩りを与えて揺れるように
思い出せない微睡み(まどろみ)の中で読んだ話が
今も私の心を撫でてくれるの
落ち葉を踏む不揃いの音も
ポケットの中で繋いだ手も
全て憶えているわ
どうかしてるわ
あなたが思っているよりもわたしは
ずっと色褪せて小さく揺れたままでいるのに
どうかしてるわ
すぐに覚めてしまう夢のように
眩しい日溜まりの中で息をしているみたいよ
終わりのある物語なんて読みたくはないの
もっと
あなたの声を聞いていたいと思うのよ
ほんとうにどうかしてるわ
あなたが思っているよりもわたしは
ずっと醜くて小さい蕾のままでいるのに
どうかしてるわ
あなたが側で笑っているだけで
全てのことが許されてしまう気がするの
どうかしてるわ
あなたが思っているよりもわたしは
ずっとあなたを心から想っているのよ
どうかしてるわ
あなたが側で笑っているだけで
全てのことが色付いて花が咲くのよ
本当はあなたと出会えて嬉しいのよ
ずっと もっと
あなたの隣で笑っていたいと思うの
いつまでも巡る季節を
あなたと歩いていきたいのよ
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