そっと窓開いて、暗転
日付のないカレンダー
繰る月日に なにか欠けたような
空中に投げ出されて ただ落ちていく
熱に浮いた夢のコラージュ
ありふれた誓い 他愛のない
冗談も
笑いあう緩い空気も
理由はなくて
きっと忘れる 大人になったら
胸に綴じた言葉 解れて波に消えた
色褪せたフィルムを 水面に浮かべて
遠く祈るように 深く沈むのを望んでいる
そっと開いたコンパス、回転
海辺にひとりぼっち
止まればいつも
針はぼくを指している
伸ばす手もぜんぶ空を掴んだ
辺りもなんか白んできたし
海に問う
「どうすればいい?」
響く
「あなたは分かっているでしょう」
あるいは、ぼくは
きっと忘れる 大人になったら
胸に綴じた言葉 解れて波に消えた
警鐘を鳴らす潮騒に 反射する焦燥感
静けさを求めて叫び出す 声にならない声
揺蕩う霧の向こう 君と見ていた
すべて混ざる
明ける夜に透けた肌
霧は晴れ 陽に溶けていく
「ずっと忘れないで 大人になっても」
さいごに見た笑顔 嘘みたいに眩しかった
重ねる手と心臓 ぼくらのちいさな地図
空白を満たす鼓動 ただ裸足のままで駆けていく
進んでいくことも 振り返ることも
ぼくらにはきっと淋しいことだけど
進んでいくことが 振り返ることが
ぼくらにはきっと必要なことなんだ
「これからどこへいこうかな」
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