波を凍らせて 吹雪の海は
鉛色をして 吠(ほ)える
ちぎれた想い出の 雁木(がんぎ)を焚(た)けば
ほろりいのち火が 哭(な)く
鳥よ 渡り鳥よ 怨みは海に沈めて
鳥よ 渡り鳥よ ふるさとへ帰れ
恋は無情だと しがらむ風に
あなた呼ぶ声も 荒(す)さぶ
温(ぬく)もり欲しいよと 海峡宿に
ひとり 情け火を抱く
鳥よ 渡り鳥よ かぶさる雪雲(くも)の彼方へ
鳥よ 渡り鳥よ はるばると渡れ
しばれ砂浜に いつかは春が
赤い浜なすも 開く
待つのは馴れている 女の胸に
ちらり明日火(あしたび)が点(つ)く
鳥よ 渡り鳥よ 翼に虹を映して
鳥よ 渡り鳥よ ふるさとへ帰れ
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