わたし 屋上で靴を脱ぎかけた時に
三つ編みの先客に 声をかけてしまった
「ねぇ やめなよ」
♪
口をついて出ただけ
ホントはどうでもよかった
先を越されるのが なんとなく癪だった
三つ編みの子は 語る
どっかで聞いたようなこと
「運命の人だった
どうしても愛されたかった」
ふざけんな!そんなことくらいで
わたしの先を越そうだなんて!
欲しいものが手に入らないなんて
奪われたことすらないくせに!
「話したら楽になった」って
三つ編みの子は 消えてった
♪
さぁ 今日こそは と 靴を
脱ぎかけたらそこに
背の低い女の子
また声をかけてしまった
背の低い子は 語る クラスでの孤独を
「無視されて 奪われて
居場所がないんだ」って
ふざけんな!そんなことくらいで
私の先を越そうだなんて!
それでも うちでは愛されて
あたたかいごはんもあるんでしょ?
「おなかがすいた」と 泣いて
背の低い子は 消えてった
そうやって 何人かに声をかけて
追い返して
わたし自身の痛みは誰にも言えないまま
♪
初めて見つけたんだ
似たような悩みの子
何人目かにあったんだ
黄色いカーディガンの子
「うちに帰るたびに 増え続ける痣を
消し去ってしまうため
ここに来たの」と 言った
口をついて出ただけ
ホントはどうでもよかった
思ってもいないこと
でも 声をかけてしまった
「ねぇ やめてよ」
あぁ どうしよう
この子は止められない
わたしには止める資格が無い
それでも ここからは消えてよ
君を見ていると苦しいんだ
「じゃあ今日はやめておくよ」って
目を伏せたまま消えてった
今日こそは 誰もいない
わたしひとりだけ
誰にも邪魔されない
邪魔してはくれない
カーディガンは脱いで
三つ編みをほどいて
背の低いわたしは
今から飛びます
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